ヒズボラがイスラエル北部にミサイル発射、200発以上か 司令官殺害の報復と

ヒズボラの攻撃により、イスラエル北部では火災が発生した

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レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは12日、イスラエル北部に複数のロケット弾やミサイルを発射した。前日にイスラエルがヒズボラの高官を殺害したことへの報復措置だとしている。

報道では、イスラエル軍(IDF)が200発以上の飛翔体が国境を越えたことを確認しているとされる。いくつかは火災を引き起こしたものの、犠牲者は報告されていない。

レバノン南部では11日、ヒズボラの戦場司令官タレブ・サミ・アブドゥラ氏が、イスラエル軍による空爆の標的となって死亡した。

これを受けてヒズボラの高官は、イスラエルに対する攻撃の強度や量を拡大すると誓っていた。

昨年10月7日にパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスがイスラエルを襲撃して以来、イスラエルとレバノンの国境ではほぼ毎日、攻撃の応酬となっている。

ヒズボラはハマスを支援するために行動しているとしている。どちらの組織もイランの支援を受けており、イスラエルやイギリスなど複数の国からテロ組織に指定されている。

レバノン当局と国連によると、レバノンではこれまでに375人以上が殺され、うち少なくとも88人が民間人だという。一方IDFは、イスラエルでは兵士18人と民間人10人が殺害されたと述べている。

双方の一連の攻撃により、イスラエル北部とレバノン南部の国境地域では数万人が家を追われている。

200発以上のロケット弾やミサイル

イスラエルのメディアは、12日のヒズボラのロケット弾とミサイル攻撃について、8カ月前に紛争が激化して以降で「前例のない」規模だと報じている。

イスラエル北部ではこの日の午前中ずっと、警報が鳴り響いた。IDFは、170発以上の飛翔体がレバノンから国境を越えてきたとしている。

飛翔体のいくつかは迎撃されたが、イスラエル北部に着弾し、一部地域で火災が起きたという。

IDFは、戦闘機と迫撃砲を使い、レバノン南部国境地域のヤルーンとハニネにある発射台、およびヤテルにある「テロリストのインフラ施設」を攻撃することで応戦したと発表した。

さらにイスラエル北部に向けた発射があったため、IDFは午後にも、レバノンのヤテルに加え、タイベ、マルカバ、ラチャヤ・アルファハール、タロウセなどを攻撃した。

レバノン国営通信社NNAは、イスラエルの空爆によりヤテルで住宅1軒が破壊され、1人がけがをしたと伝えた。また、マルカバを戦闘機とドローン(無人機)が攻撃したほか、オダイセに向けて白リン弾が発射されたと報じた。

イスラエル紙ハアレツは、夕方までにレバノンからイスラエルに撃ち込まれた飛翔体は215発に上ったと伝えた。

また、イスラエルの消防筋によると、ロケット弾による火災が「戦略的地点と施設」を危険にさらしたという。消防士やボランティア、公園管理官、軍人などが、北部にのビリヤ、カディタ、アイン・ゼイティム、ツィヴオンの各コミュニティーで、火災の鎮火に当たっている。

レバノン首都ベイルートで行われたタレブ・サミ・アブドゥラ氏の葬儀

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ヒズボラは、12日にイスラエルに対し少なくとも17件の活動を実行したと発表。うち8件は、タレブ・アブドゥラ氏と戦闘員3人の「暗殺」に対する対抗措置だと説明した。

アイン・ゼイティムとアミアドにあるイスラエル軍司令部に加え、メロンの監視塔、サナの「軍事工場」などを標的にしたという。

ヒズボラの執行評議会議長を務めるハシム・サフィ・アルディン氏は、レバノンの首都ベイルートで行われたアブドゥラ氏の葬儀で参列者数百人に、イスラエルは「過去の経験から何も学んでいない」と語った。

「経験上、殉教する指導者が増えれば増えるほど、抵抗勢力はより安定し、根強くなることが証明されている」

「我々は、活動の激しさ、力強さ、量、質をさらに高めていく」

IDFは、11日夜にジョウアイヤ村にあるヒズボラの司令制御室に空爆を行い、アブドゥラ氏と戦闘員3人を殺したと説明している。

アブドゥラ氏については、「レバノン南部におけるヒズボラの最高司令官の一人」だとし、「イスラエル市民に対する多くのテロ攻撃」を計画・実行した人物だと非難した。

レバノンの治安筋はロイター通信に対し、アブドゥラ氏は南部国境地帯の中央地域におけるヒズボラ司令官であり、今年1月にイスラエルの攻撃で死亡したヒズボラの精鋭部隊「ラドワン部隊」のウィサム・タウィル司令官よりも高い地位にあったと語った。

イスラエル北部では先週、ロケット弾による山火事が発生し、14平方キロメートルの土地が焼失した。これを受けベンヤミン・ネタニヤフ首相は、政府として「北部での非常に強力な行動」の準備が整っていると述べた。

「いずれにせよ、我々は安全を取り戻すだろう」と、首相は付け加えた。

IDFのヘルジ・ハレヴィ参謀総長も、ヒズボラに対する「攻撃態勢」が整っていると述べた。