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お肉は食べていい? 熱いお風呂は? 風邪を長引かせないために「してはいけない」こと - ウートピ

鼻がぐずぐずする、のどが痛いかも、風邪かなといやな予感がします。臨床内科専門医・消化器内視鏡専門医・漢方専門医の吉田裕彦医師によると、風邪を長引かせないためには、「なによりも早めにケアすることがポイントです。風邪ぐらいと思って放っておくと、重症化して入院や、治るまでに1カ月以上かかることはよくあります」ということです。具体的なケアについて、詳しく聞いてみました。

風邪は気管や気管支、肺まで炎症が及ぶとこじれる

はじめに吉田医師は、風邪をひいて長引く、こじらせときにはどのようなことになるのか、次のように説明をします。

「風邪は初期では、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、カラ咳があるでしょう。それはウイルスによって、呼吸器のうちの上気道(じょうきどう)である、鼻と口、鼻腔(びくう。鼻の奥の空洞)から咽頭(いんとう。鼻の奥から食道までの、飲食物と空気が通る筋肉と粘膜でできた約13cmの管)喉頭(こうとう。のどぼとけのあたりの気道の入り口)に炎症が起こっているからです。

風邪とは通称であり、正式な病名は『急性上気道炎』、『風邪症候群』、『感冒』などになります。

上気道の症状が徐々に悪化すると、発熱、頭痛、全身倦怠感などが現れます。それらが3~5日以上継続すると、下気道(かきどう)である気管、気管支、肺まで炎症が及ぶ可能性が高くなります。するとゴロゴロした咳、たんがからむ咳が出ます。悪心、おう吐、下痢などを伴うこともあるでしょう。こうなると苦しくて日常生活や仕事に差し支える、また治るまでに時間がかかるようになります。

さらに、風邪はウイルスに感染する病気ですが、重くなると免疫力が低下し、別の細菌によって副鼻腔炎(ふくびくうえん)や肺炎を発症することがあります。風邪をこじらせるとは、炎症が強くなる、また、下気道まで波及し、さらに肺炎など二次的な病気を発症した状態です。そうなると改善するまでには長引くことになります」

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オフィスでもマスク、水分補給、加湿を

次に吉田医師は、「風邪を早く治すには、上気道の炎症のうちに改善することです」と話し、長引かせない、こじらせないためにしてはいけないこととして、次のポイントを挙げます。

(1)風邪をひいている人と接触する
まずは予防について、風邪はウイルスによって感染するため、家族や職場に風邪を引いている人がいればできるだけ近寄らないようにしましょう。風邪のウイルスを含む咳やくしゃみ、鼻水の飛沫(ひまつ。しぶきのこと)は2メートルは飛散するので、それ以上離れておくことが得策です。

また、接触感染と言って、風邪を引いている人が触ったドアノブ、オフィスのデスクや椅子や機器、タオルなどに触れると感染する可能性が高くなります。できるだけ触らない、触ったら石けんで手洗いをするようにしましょう。

生活や仕事上、近寄らないわけにはいかないこともあるでしょう。その場合は、手洗いやうがいを徹底すること、また周囲に自分の咳やくしゃみのしぶきを飛散させないためや、鼻とのどの乾燥を予防するためにも不織布製のマスクを着用することが最善の策と言えます。また、人混みや繁華街に出向くのはできるだけ避けましょう。

(2)栄養をつけるために、ステーキや唐揚げを食べる
風邪をひくと胃腸の働きが低下するため、消化に時間がかかる肉類、揚げ物、脂肪分が多い食事は避けてください。消化に良いスープやおかゆをぬるめの温度にする、リンゴをレンジで適温に温めるなどして、よく噛(か)んで食べましょう。また、食欲がないときは、無理に食事をすると胃腸の調子が悪化するため、これらを食べられるだけ口にするとよいでしょう。熱い、冷たい食事は胃腸に刺激が強いため、避けてください。

(3)忙しくて睡眠不足が続く
風邪のケアにはもちろん、予防としても、日ごろの睡眠の状態はとても重要です。睡眠時間は7時間以上をキープし、質が高まるように、夜更かししない、寝る前に食事やスマホやパソコンの操作をしない、寝室の環境を整えるなどの工夫をしましょう。

(4)仕事中は水分がとれない
風邪や発熱時には体から水分が奪われて、脱水状態になることがあります。水分補給の意識を高めて、こまめに白湯を飲むのが良いのですが、仕事で難しい場合は、職場の人に水分補給を願い出ること、また休憩時には必ず温かいドリンク(コーヒー、紅茶、緑茶は利尿作用があるので避ける)を飲んでください。白湯をこまめに飲むと、のどの潤いにも有用です。

(5)元気づけのためにお酒を飲む
アルコールは利尿作用があって脱水の可能性があります。また、睡眠の質を下げるため、寝つきはよくてもすぐ目覚めて結果的に良い睡眠がとれません。さらに風邪薬を飲んでいるとアルコールは薬の成分を増強させて興奮に導くことがあります。風邪では水分と栄養補給、睡眠、安静が何より重要なので、飲酒はやめてください。

(6)体を温めるために熱い湯に入る
42度以上の熱い湯による入浴では、入浴中は温まっても湯冷めが早く体は温まりません。また、暑い湯や、ぬるい湯でも10分以上の長湯では体力が必要になり、疲れます。風邪のときは体力が低下しているので、お風呂は早めにさっと、体を冷やさないように足湯を5分ほどしてから入るのがよいでしょう。

(7)体がだるいのでジョギングをする
風邪によるだるさは、体がウイルスと闘うために免疫の機能を活性化しているからと考えられています。ジョギングや、ウォーキングでも速足や大股で力を入れて歩くなど、運動量が大きいことはその力を妨げるので風邪の症状があるとき、しんどいときはやめておきましょう。

(8)熱がこもるので薄着にしている
風邪のウイルスは、低温度、低湿度を好みます。抵抗するためには、体を温めて鼻やのどを保湿することが重要です。外出時はもちろん、屋内でも、マスク、帽子、マフラー、手袋、レッグウオーマーなどで冷気を防ぎ、カイロや腹まきも活用して体温が下がらないようにしましょう。

(9)ダイエットをしている
栄養不足、ストレスがたまるなどで体力や免疫力が低下する可能性があります。日ごろから栄養のバランスが良い食事をしましょう。

(10)忙しくて疲れやストレスがある。
疲れやストレスは自律神経のバランスを崩して、免疫力を低下させます。ストレスの原因をとる、毎日リラクゼーションの時間を持つなどしましょう。

(11)暖房で職場や部屋の空気が乾燥している
デスクワークの場合は、パソコンのUSB電源で使えるパーソナル加湿器を活用してください。自宅では加湿器を使って、室内の湿度を50~70%に、気温は22~24度に保ちましょう。また、マスクをすると、自分の息でのどと鼻が潤うので常時着用してください。

ここで吉田医師は、受診のタイミングについてこうアドバイスを加えます。

「初期の段階でこれらのケアをすれば薬も飲まずに自然に治るでしょう。ただし、鼻や咳が1週間以上続いて軽快しない場合は内科か耳鼻咽喉科を受診してください。こじらせている、また、インフルエンザやノロウイルス、肺炎など別の感染症の場合もあります」

風邪を早く治したいのに、無意識に「してはいけないこと」をくり返してはずるずると長引かせる、こじらせることがあります。万全な状態になるまで、普段からの予防のために、風邪を機にこれらの習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

次回は、「風邪がこじれたときの危ない症状」についてお伝えします。

(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)

取材協力・監修
吉田裕彦氏。 臨床内科専門医。消化器内視鏡専門医。漢方専門医。糖尿病療養指導医。大阪府内科医会理事。八尾市医師会副会長。医療法人朋侑(ほうゆう)会・吉田クリニック院長。医療法人朋侑会・吉田クリニック:大阪府八尾市山本高安町2-1-3

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