2020年4月の鶏肉需給は、新型コロナウイルス感染症拡大による、緊急事態宣言が発出され、外出自粛・外食控えにより、家庭内需要が3月以上に強まった。量販店では、国産品を中心に需要が強く、凍結在庫も相当数が消化されたもよう。また、量販店では価格優位性の高い輸入品も、特売として販売されていたようだ。
一方で外食関係は需要が激しく落ち込み、テイクアウト販売の開始など新たな動きも散見されるが、落ち込みをカバーするほどのボリュームには届かず、苦戦した。そのため、4月の月間平均相場は、日経加重平均でモモが582円(前年601円)、ムネが241円(232円)となり、モモは前年を下回っているが前月から7円高となり、前年比との幅が縮小されている。
ムネは前月に続き、昨対を上回り240円台を維持した。5月は引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、外出自粛・外食控えの傾向は変わらないと見られ、量販店を中心に国産品の需要が継続すると見られる。そのため、国産品ではある程度の上下はあるものの、モモはジリ上げの展開が想定される。
〈供給見通し〉
日本食鳥協会がまとめているブロイラーの生産・処理動向調査によると、4月の生体処理羽数は前年同月比2.9%増と予想している。さらに処理重量は1.8%増と羽数・重量ともに前年を上回る見通しだ。また5月の処理羽数は0.4%減、処理体重は2.7%減と予想しているが、6月は再び昨対増と推定している。
主要産地では、北海道・東北地区では4月までは処理羽数・処理重量ともに昨対増で推移していたが、5月は処理羽数が0.2%減、処理重量が3.9%減と推定している。南九州地区(宮崎、鹿児島、沖縄)でも、羽数が0.1%減、処理重量が2.1%減と若干ではあるが昨対減と推定している。
農畜産業振興機構の鶏肉需給予測によると、5月に国産生産数は13.9万tで前年同月比0.2%増の見込み。3~5月の平均では2.1%増と前年同期を上回る見込みだ。5月は引き続き潤沢な供給量に支えられ、前年並みとなる。5月の輸入量は、4.3万tと7.1%減と予測している。米国で鳥インフルエンザが発生したことに伴う輸入停止措置や、新型コロナウイルス感染症の影響による流通の乱れなどから、前年同月を下回ると見られる。3~5月の平均輸入量も、4月、5月が昨対割れと見込まれることから、1.7%減と前年同期を下回る。
〈需要見通し〉
量販店では3月以降、買いだめ需要も散見され国産品を中心に需要が強まり、4月には不要不急の外出を避け、外食を控える動きが強まったため、国産生鮮を中心に引き合いが強まった。さらに外出自粛が全国に拡大したことで、家庭内消費が大幅に伸びており、生鮮に限らず、凍結品も相当数の消化が進んだ。生産状況は潤沢であるにも関わらず、局地的には品薄となった。そのため末端価格は多少上昇傾向にある。
輸入品は、メーンの外食が不振ではあるが量販店での需要が強まっており、一定数が量販店に流れている。輸入量は減少しているが、需要がそれ以上に落ち込んでいるため、相場を押し上げる要因とはならず厳しい状況は変わらず。
〈価格見通し〉
GW前にモモ相場は上昇し、5月1日には日経加重平均609円となり、7日以降も600円を超えて推移している。ムネは7日に263円を付けたが、9日には247円となった。5月は引き続き安定した需要に支えられ、相場もある程度安定すると見られる。その上で、外食控えが継続すること、家庭内消費では価格優位性の高い鶏肉需要が一段と強まると見られ、モモは強含み、ムネはもちあいと見られる。月間平均ではモモが610円前後、ムネは250円前後、農水省市況ではモモが630円前後、ムネが270円前後と見込まれる。
〈畜産日報2020年5月12日付〉
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May 12, 2020 at 10:37AM
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