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痩せすぎ注意! フレイル予防は、お肉を食べることから始めよう【今日からできるフレイル対策2】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト - serai.jp

新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、外出自粛を意識する生活が始まってから、4か月。感染は拡大し続けており、外出自粛が解除されていてもためらう人は多い。基本的に家で過ごすことが主になる「新しい生活様式」下において、シニア層が身体機能を維持するために何に気をつければよいか、「フレイル・サルコペニア予防」の専門家である、東京女子医科大学病院リハビリテーション科教授・診療部長の若林秀隆先生に伺った。今回は、家庭でできるフレイル予防を、食生活を中心に紹介していく。

※フレイル……2014年に日本老年医学会が提唱した「Frailty(虚弱)」の日本語訳。健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指す。

※サルコペニア……筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態を指す。

フレイル予防のために、肉を食べよう

外出自粛生活で、多くの人が以前に比べて「太った」と感じている。これについて若林秀隆教授は、フレイル・サルコペニア予防のためには、太りすぎよりは、痩せすぎのほうがリスクが高いという。

「肥満もフレイルの原因のひとつですが、痩せすぎのほうが問題です。一見、スリムで元気なように見える人も、体を維持するためのエネルギーやたんぱく質が不足している状態になっていることがあります」(若林先生)

年齢とともに、消化機能が落ちたり、ものをうまく食べられなくなったりする。それにより体重が落ちることを問題視しているのだ。

大切なのは、しっかりと食事を摂ること。ただ、太ればいいというわけでもなさそうだ。そこで、シニア層にコロナ渦中の体型の変化についてリサーチしたところ、その典型ともいえる体験をした人がいた。

「コロナ禍で外食の機会が減り、食事が面倒になりました。気が付けば10kgも減っており、コロナダイエットだと思っていますが、最近ふらつくようになりました」(63歳・女性)

「ストレス解消のために、甘いものやお酒を口にするようになって、この3か月で6kgも太ってしまった。体が重くて、動くのもおっくう。通勤もなくなったので、1日30歩程度しか歩かない日もあります。風邪をひきやすくなり、医師の診察をうけたところ、運動不足を指摘され、生活習慣病のリスクも高まっていると言われました」(62歳・男性)

年齢とともに、体の筋肉や水分が徐々に減ってくる 。低栄養になると、さらに筋肉量や筋力が低下し、骨量も減少する。骨折のリスクも高まり、身体的フレイルが起こりやすくなる。

さらに、認知機能が低下するので、精神心理面や社会面でのフレイルも心配だ。ほかにも、気力がなくなったり、病気にかかりやすくなったりするという。

では、どの程度がベストな体型なのだろうか。それを判断するうえで目安となるのが、BMI(Body Mass Index)指数だ。算出方法は、 [体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]。簡単に算出するサイトや計算機もあるが、ここは頭の体操を兼ねて、紙とペンで計算してみよう。

「70歳未満の方は、BMI値が18.5未満、70歳以上の方は20未満なら、低栄養になっているかもしれません。また、食欲がなく食事の量が食べられない場合など栄養補助食品などを積極的に摂取し、体重を増やすようにした方がよいでしょう」

食事と運動のバランスが大事、その上で気にした方がいいのはたんぱく質。

「3食のうち2食は、肉や魚をメインにするとよいでしょう。豆やチーズ、卵などもよいです。どうしても肉や魚を食べたくないときは、牛乳をコップ1杯飲むのもよいです。噛むことも大切なので、食事が基本ですが、栄養補助食品も上手に入れつつ、栄養摂取を心がけてください」

低栄養の弊害について解説してきたが、意識した方がよい問題は、嚥下障害による低栄養だ。食べられないから低栄養になり、さらに食べなくなる……という負のスパイラルを引き起こすという。

「これはリハビリだけでは改善しにくく、普段から栄養を取るように意識した方がよいですね。サライ世代のうちから、よく噛むうえに、栄養価も高いお肉やお魚を日常的に食べているとよいと思いますよ」

この嚥下障害は、噛む力、喉の筋力などが複雑に絡み合っている。日ごろから鍛えておくことが大切なのだ。

「1回の食事量が少ない場合には、食事の回数を増やすことも嚥下障害の予防につながります。1日3回から4~5回に分け、少量をこまめに食べることもおすすめします。食事をすることで、嚥下機能を維持できます。というのも喉のフレイル(嚥下障害ではないが正常より衰えている状態)が原因となり、誤嚥性肺炎になりやすくなるからです。救急搬送されて入院した後に、、嚥下障害が残ってしまったり、最悪の場合、寝たきりになる場合もあるのです」

誤嚥性肺炎を発症すると、安静や禁食という措置が入院時にされることが多い。これが適切な評価なしに行われていた場合、消化機能の低下や筋力の衰えが進行し、これまで外出や食事ができた人でも、寝たきりになってしまうこともあるという。

「このような例も含め、医原性フレイルといいますが、そうならないための予防は今から始められます」

若林先生は、多くの患者と接してきて、中間層といえるフレイルが増えていると指摘する。

「例えばトイレには行けるけれど、買い物は難しいなどのフレイルの方が増えてきていると感じます。寝たきりになってしまうと、リハビリでフレイルまで回復できることもありますが、むずかしいことも少なくありません。フレイルの段階で、食事、運動、交流で寝たきりを予防していきましょう」

【次回】家庭でできるフレイル予防~運動編~に続きます

お話を伺ったのは……

若林秀隆先生
東京女子医科大学病院 リハビリテーション科 教授・日本リハビリテーション栄養学会理事長
横浜市立大学医学部、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科臨床疫学研究部卒業。リハビリテーション栄養、サルコペニア、サルコペニアの摂食嚥下障害が専門。著書に『イラストで学ぶ 高齢者リハビリテーション栄養』(講談社)などがある。

若林先生のインタビュー記事は、株式会社おいしい健康が運営するメディア「先生からあなたへ」でもご覧いただけます。
https://articles.oishi-kenko.com/sensei/wakabayashihidetaka-sensei/

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September 05, 2020 at 01:00PM
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