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中国、安保協定の合意失敗 太平洋島嶼国と会議 - 産経ニュース

30日、フィジーのバイニマラマ首相(右)と中国の王毅国務委員兼外相(中央)=フィジー・スバ(AP)

【シンガポール=森浩、北京=三塚聖平】中国の王毅(おう・き)国務委員兼外相は30日、訪問先のフィジーで南太平洋島嶼(とうしょ)諸国と外相会議をオンライン形式で開催した。中国は会議で安全保障面での連携強化を謳(うた)った協定の締結を提案したが、合意には至らなかった。協定を足掛かりに本格的な太平洋進出を図ったが頓挫した形だ。中国進出を警戒した一部参加国から異論が出たもようだ。

中国外務省によると、会議には中国と国交を持つソロモン諸島、キリバス、サモア、フィジー、トンガ、バヌアツ、パプアニューギニア、ニウエ、ミクロネシア連邦の9カ国が参加した。

中国の習近平国家主席は会議に寄せた書面あいさつで、「さらに緊密な中国と太平洋島嶼国の運命共同体を協力して構築したい」と呼び掛け、島嶼国との関係強化に意欲を見せた。

豪州メディアによると、会議で中国は安保や貿易、データ通信などの幅広い分野での協力を盛り込んだ協定案を示した。フィジーのバイニマラマ首相は会議後、「地域協定に関する議論においては意見の一致を優先する」と述べ、一部参加国から異論が出たことを示唆した。中国の銭波(せん・は)駐フィジー大使は記者団に「(協定案の)いくつかの特定の問題について懸念が寄せられている」と語った。

協定をめぐっては草案が事前に流出し、ミクロネシアのパニュエロ大統領が「新たな冷戦を招く」と警鐘を鳴らしていた。

中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は30日の記者会見で「各国はより多くの共通認識に達することを目指して努力することに同意した」と述べ、協議を継続する意向を示した。

太平洋進出を目指す中国は4月にソロモンと2国間で安保協定を結んでおり、日米豪は軍事拠点化への懸念を表明した。中国の動きを警戒するオーストラリアのウォン外相は今月26日にフィジーを訪問。「太平洋地域の長期的安定と安保に貢献する」と述べ、島嶼国に寄り添う姿勢を示した。

米国は30日までに、フィジーが米主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に参加することを明らかにした。参加国はこれで14カ国に拡大。島嶼国をめぐって中国と日米豪などとの綱引きが激しさを増している。

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