
【キーウ=上杉洋司】ウクライナの国営原子力企業エネルゴアトムは、南部ミコライウ州にある南ウクライナ原子力発電所で19日未明、ロシア軍が発射したミサイルが、原子炉建屋から約300メートルに着弾し、爆発したと発表した。
原子炉3基に異常はなく、運転を続けている。露軍が占拠するザポリージャ原発でも砲撃が相次ぎ、原子力事故の懸念が高まっていた。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日、「ロシアが世界を再び危険にさらしている」と非難した。
米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は18日、ロイター通信などに、ウクライナ軍の反転攻勢を受けた露軍の行動が予測困難になったとし、「警戒と万全の準備が必要だ」と訴えていた。
ゼレンスキー氏は17日のロイター通信とのインタビューで、ロシアが併合した南部クリミアに関し、「外交で取り戻すこともあり得る」と述べた。南部と東部での反攻で領土を可能な限り奪還し、ロシアにクリミア返還を迫るシナリオを維持していることを示唆したとみられる。
一方、東部ハルキウ州の警察幹部は18日、SNSで、露軍が撤退するまで設置していた拷問用施設で、スリランカ人の留学生や労働者ら7人が長期間拘束され、虐待されたと明らかにした。
20~40歳代とみられる男性6人と女性1人は滞在先から、5月に州都ハルキウへ徒歩で脱出しようとしたところ、検問所で露軍に拘束された。頭に袋をかぶせられ、州北部の拷問施設に連行された。
清掃員として労働を強要され、男性2人が爪をはがされるなど暴行を受けたという。
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