ドラギ首相の辞任に伴うイタリア総選挙が9月25日、投開票され、右派連合が上下両院で過半数を獲得し、第1党となった右派「イタリアの同胞」のジョルジャ・メローニ党首(45)がイタリア初の女性首相となる公算が大きくなった。メローニ党首は第二次世界大戦時の独裁者、ムソリーニが率いた「ファシスト党」の流れをくむ極右政党の青年組織で活動した経歴を持つ。極右出身の首相が誕生する可能性が強まったことで、ウクライナ情勢などを巡り、欧州内の結束が維持できるか懸念する声も出ている。
メローニ党首は26日未明、右派連合に「国民から明確な支持が与えられた」と勝利宣言した。10月13日に新議会が招集された後、マッタレッラ大統領が新首相を指名し、上下両院の承認を経て新政権が発足する見通しだ。
対ロシア政策に注目
まず注目されるのが、ウクライナ情勢を巡る対ロシア政策だ。メローニ党首は過去に、ロシアのプーチン大統領への支持を表明したこともあったが、ウクライナ侵攻については「受け入れがたい大規模な戦争行為だ」と非難。北大西洋条約機構(NATO)を軸に欧米各国とウクライナ支援や対露制裁に乗り出した、ドラギ政権の政策を踏襲する意向を示す。
一方で、伝統的な家族観を重視する立場からLGBTなど性的少数者に否定的で、移民に対する排他的な主張も掲げる。カターニア大学のフランチェスカ・ロンゴ教授(政治学)は「メローニ党首は(欧州連合に対する)自国の利益を主張している。また、ハンガリーなど民主主義の尊重に関し問題を抱える国々と接近する傾向にあり、そうした動きを注視する必要がある」と指摘している。
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【ムソリーニ】
イタリアの政治家で独裁者。第一次世界大戦に参戦後、ファシスト党を結成し、1922年、クーデターで政権を獲得して首相となり、議会制民主主義を否定して、一党独裁体制を完成させた。ナチスのヒトラーと結んで第二次世界大戦に突入したが、43年の連合軍のイタリア上陸で失脚し、のちにパルチザンに処刑された。
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