ロシアのウクライナ侵攻から2年間で追加で生じた温室効果ガスは、二酸化炭素(CO2)換算で少なくとも1億7500万トンに達するとの報告書を、欧州の専門家グループとウクライナ環境保護・天然資源省が13日発表した。ガソリン車9000万台分やオランダの年間排出量に匹敵するとした。
対象期間は軍事侵攻が始まった2022年2月から24年2月まで。軍事行動、火災、エネルギーインフラの被害、民間航空機のルート変更、復興工事、避難民の移動など直接・間接的な影響をそれぞれ試算して積み上げた。
軍事行動によるものは全体の約3割を占め、最大の汚染源はロシア軍が使用する燃料消費で3520万トン、ウクライナ軍は940万トンだった。また民間機の航路変更に伴う追加の排出量は2400万トンで全体の14%を占めた。ロシアによる軍事侵攻後、多くの航空会社がロシア上空を迂回(うかい)する航路を採用している。
軍事・防衛分野は、世界全体の排出量の1~5%を占めるとの試算があるが、公開されているデータが限定的で、これまで特定の戦争による温室効果ガスの排出量は十分に検証されてこなかった。ウクライナ政府は、ロシアに請求する損害賠償に環境被害も盛り込む方針を明らかにしている。【ニューヨーク八田浩輔】
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