Apple Watch Series 6。44mmでスペースグレイ・アルミニウムケースで、ベルトは新発売の繋ぎ目のないシリコンストラップ「ソロループ」だ。
撮影:西田宗千佳
9月18日から発売になるApple Watchの最新モデル「Apple Watch Series 6」のレビューをお届けする。
Series 6では「血中酸素ウェルネスアプリ」の搭載が話題だが、同時に発売されたバンド「ソロループ」も魅力的だ。
今回は、実機とソロループ・バンドの両方の貸出を受けたので、取り急ぎファーストインプレッションをお伝えしたい。
Series 5からの機能アップは小幅、だが着実な改善
ケース。よく見るとロゴがエンボス加工。
撮影:西田宗千佳
今回の試用機材は、大きさ44mmでスペースグレイ・アルミニウムケースのモデル。以前からある本体色なので、ちょっと外観だけでは「Series 6らしさ」が見えないのが残念だが、今回は(PRODUCT)REDとブルーアルミニウムなど、新しい色も増えている。店頭などに行く機会があれば、チェックしてみていただきたい。
箱の中に入っているのはいつもと同じ……と言いたいところだが、確かにオンラインイベントでの説明の通り、USBのACアダプターが入っていない。とは言うものの、PCに接続して充電してもいいわけだし、USBのアダプターはたしかにありふれていて、さほど影響はないだろう。地味な違いだが、実は「Series 6」の箱はロゴが白いエンボス加工で、「SE」の箱は普通の印刷、という違いがある。
ACアダプターが付属しないこと以外は変わったところはない。
撮影:西田宗千佳
手元には筆者私物の「Apple Watch Series 5」(40mm スペースグレイ・アルミニウムケース)があるので、これと比較しながらみていこう。
「Apple Watch Series 5」(40mm スペースグレイ・アルミニウムケース、左)と比較
撮影:西田宗千佳
ディスプレイの常時表示機能が向上し、表示が暗くなっているときでも「ちょっと見やすくなった」とアップルは説明している。
実際に屋外に出て確認したが、その差は、薄曇りの空ではあまり感じられなかった。「気持ち明るいかな……?」というくらいだ。むしろ、暗くなるまでの時間が少し遅くなったようにも感じる。どちらにしろ、ここはそこまで「劇的な変化」とはいえない感じだ。
消灯状態だとSeries 5の方がわずかに暗いが、Series 6が劇的に明るいとまではいえない。
撮影:西田宗千佳
では動作はどうか?
これも、劇的に違うとは言い難い。しかし、確かに速い。
そもそもSeries 5は過去のApple Watchに比べ、アプリ動作のパフォーマンスが上がっていて快適だったのだが、Series 6はもうちょっと「ヌルヌル」「キビキビ」している。これは魅力だ。
とはいえ、Series 5との差が劇的、というほどでないのも事実。「スマートウォッチとしての基本機能」的な部分の改善だけで、Series 5から買い換えるほどではない。
逆にいえば、「Series 5の進化を横目で見つつスルーした人」には、それがさらに正常進化した形なわけで、とても魅力的なアップデートである。
今回は時間がなく検証しきれなかったが、Series 5からさらに「充電が早くなっている」のもポイントだろう。
バッテリー動作時間についてはカタログ上の記載がなく同等と思われるし、体感的にも大きな違いは感じなかった。だが、充電時間は短くなったという。
完全放電から完全充電まで、Series 5では2時間半かかったが、それがSeries 6では1時間半になった。
短縮されているのは主に充電が80%くらいまでの時で、「持ち出すのに不安がある」くらい充電が減ってきていれば、計算上は30分くらいで相当量の充電が可能……ということになる。
これもまた、それだけでSeries 5の利用者が買い換えるものではないが、それより前のモデルのユーザーにとっては魅力だろう。
すなわち「ベースラインが上がった」というのが、Series 6の利点なのだ。
「健康把握」のための「血中酸素ウェルネスアプリ」
アプリを使って「血中酸素濃度」を計測できる。
もちろん「ベースライン」以外の部分も進化している。多くの方が気になっているのは、「血中酸素ウェルネスアプリ」の存在だろう。いわゆる「血中酸素濃度」を測る機能だ。
使い方は簡単。腕にApple Watchをつけ、アプリを起動して、ボタンを押して15秒待つだけ。この時に手などが動くと正しく計測できないので、机などの上に手を置いて計測すると測りやすい。自分の血中酸素濃度がわかり、iPhoneの「ヘルスケア」アプリに履歴が残る。
机の上などで平らに静かに15秒配置して「血中酸素濃度」を測る。
撮影:西田宗千佳
計測に成功するとパーセンテージで血中酸素濃度が表示される。動くと計測に失敗することもある。
撮影:西田宗千佳
本体の裏には新たに赤外線を使ったセンサーが搭載されており、計測が始まると赤く光る。(とはいえ、裏返すとすぐに消えるので、実際に見るのはかなり難しい)。心拍センサーは緑なので、Series 6は赤と緑の両方で光るタイミングがあるわけだ。センサーの位置もSeries 5とはちょっと違う。
ただし、この「血中酸素ウェルネスアプリ」は医療用というわけではない。あくまで自分で健康状態を把握するための「ウェルネス」系機能という扱いだ。医療用のパルスオキシメーターが不要になるわけではない。
でも、「未病」「集中力低下」「運動効率の把握」などの目的には十分使える。こうした部分に興味があるなら、Series 6を選ぶ理由になるだろう。
心電図測定「ECG」は日本にはまだ来ない
2019年発表のSeries 5で追加された心電図計測「ECG」機能。この機能の説明は日本語サイトからは割愛されている。
出典:アップル
なお、医療関係の話なのでここで述べておこう。
以前からApple Watchには「心電図(ECG)測定機能」が搭載されていて、アメリカなどでは利用できていたが、日本では厚生労働省の医療機器認定の問題で、いまだ使えていない。
先日、Apple WatchのECGを実現するソフトについて、医療機器承認の事実が確認された。厚生労働省が「プログラム(ソフト)」として認定する仕組みを整えたことによる。
だが、これが直接的に、「すぐ新製品からECGが使える」という話にはつながっていないようだ。現状アップルからこの件についてのコメントはなく、「これまで同様、当局と密接な連携をして、実現にむけて努力する」という段階だ。
だから、今は新機種でもECGは使えないし、旧モデルへのアップデートも実施されていない。
実は「PC利用者に最適」。ソロループは傑作だ
ソロループ(カラーはキプロスグリーン)。バンドが左右に分かれていないのが特徴。
撮影:西田宗千佳
ここでもうひとつの気になる存在である「ソロループ」も紹介しよう。
ソロループはSeries 6専用というわけではなく、サイズが40mm・44mm世代のApple Watchならば、バンドの太さと本体サイズが合致する場合、利用できる。
写真でお分かりのように、シリコンゴムによる「一枚板」になっている。これを時計部につけるので、結果的に「ループ」になる。留め金はない。
伸びる素材なのでぐっと引っ張って手首へ通す感じで使う。慣れれば別に難しくはない。むしろ留め具がない分シンプルだ。
伸びる素材で、ぐっとひっぱって手を通す。
撮影:西田宗千佳
なによりいいのは、ノートPCを使っている際だ。時計の留め具部分はパームレストにぶつかりやすく気になることもあったのだが、ソロループだと問題ない。もちろん、サイズが合っている限りは、ずれる感じも不快感もない。
留め具がないのがソロループ。ノートPCでパームレストに当たるのが気になっていた人には朗報だ。
撮影:西田宗千佳
アップルの「測定ツール」。以下からPDFファイルをダウンロードして、ハサミで切って計測する。ソロループ購入サイト内の「サイズガイドを使う」をクリックすることで入手できる。
出典:アップル
問題は、「自分にサイズを合わせないといけない」というところだろうか。サイズを知るには巻尺などで測るか、アップルが公開している「測定ツール」を使うのがいいだろう。
そうして「サイズが何番か」という数字を把握し、それに応じたものを購入することになる。もちろん、アップルストアでは計ってくれるそうだ。
たった1日つけているだけだが、これは本当に気に入った。正直おすすめだ。「本体を買い換えるまでの費用が出せない」という人も、検討する価値がある。
(文・西田宗千佳)
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