島旅フォトライターのいづやんです。
世間はGo To トラベルで旅行に出る人も増えてきていますが、まだまだ島へは気軽に足を運べない昨今。
そんな今こそ、自宅で島のご飯を作って旅気分を味わいたい!
そこで、今回作ってみるのは、過去に数回訪れた鹿児島県は奄美大島でも、地元のお店で食べて本当に美味しかった郷土料理「鶏飯(けいはん)」。
香港やマレーシア、シンガポールなどで食べられている「海南鶏飯」や、タイの「カオマンガイ」などに少し似ている、茹で鶏を使った米料理です。
▲奄美大島の美しい空と海。またいつか訪れたい
奄美の鶏飯とはなんぞや
▲生まれて初めて食べた「ひさ倉」の鶏飯。奄美大島ではメジャーな料理で、シンプルながらスープが沁みる美味しさだった
奄美の鶏飯の特徴は、ざっと以下の通りです。具材や薬味は、お店やご家庭により少しずつ違う場合もあります。
- お茶碗に盛ったご飯に各種具材をのせて、お茶漬け風にして食べる
- ご飯にかけるのは、鶏から取ったスープ
- 具材は、茹でてほぐした鶏肉、椎茸の甘煮、錦糸卵、漬物(パパイヤ漬け)
- 薬味は、刻み海苔、青ネギ、柑橘の皮など
つまり、鶏肉メインで具材たくさんの鶏スープ茶漬け、といったところでしょうか。
以前奄美大島で何度か食べたものを思い出してみると、細かい違いはあれど、どのお店でも同じような具材と薬味で出てきました。
▲具材をお好みでご飯の上に盛り、鶏から取ったスープをかけてかっこむ
奄美の鶏飯のルーツは諸説ありますが、戦前までは薩摩藩の役人をもてなすための料理で、鶏の炊き込みご飯か、もしくは鶏肉をほぐしてご飯にのせ、だし汁をかけるというスタイルだったというのが有力。
戦後に「旅館みなとや」が江戸時代の炊き込みご飯にアレンジを加え、出汁茶漬け風にしたのが、現在の鶏飯の始まりとされています。
その後、上皇上皇后両陛下が皇太子時代に奄美を訪れ、その美味しさにおかわりをするほど気に入られたことから評判となり、奄美を代表する郷土料理となったそうです。
▲こちらの「奄美リゾート ばしゃ山村」では、さし身や小鉢とセットになってはいるが、スープと具材はほぼ同じ
そんな奄美ではポピュラーな鶏飯ですが、やはり関東ではなかなか食べる機会がないのは残念なところ。
そこで、島外のスーパーでも手に入る食材で手軽に作れ、島の味に近づくよう、色々試行錯誤を重ねて完成した、鶏飯のレシピをご紹介します(料理は妻がしてくれました)。
鶏飯の材料
材料(2人分)
(茹で鶏)
- 鶏胸肉 300g
- 鶏もも肉 300g
- 水 1,000ml
- 酒 100ml
- 生姜 1片
- 塩 小さじ2
(椎茸の甘煮)
- 干し椎茸 4個(戻し汁 100ml)
- 水 300ml
- 砂糖 大さじ1
- 醤油 小さじ2
(錦糸卵)
- 卵 1個
- 塩 少々
- 油 小さじ1
- たくあん 40g
- ごはん 2~3膳
- 青ネギ、刻み海苔、白ごま お好みで
鶏を茹でて、出汁を取る
まずは、水1,000ml、酒100ml、生姜1片、塩小さじ2を鍋に入れ、中火にかけます。
沸騰したら、鶏胸肉と鶏もも肉を投入。
出汁で使う鶏は、胸肉だけだったり、ささみや手羽を使う場合もあるのですが、今回は短時間で濃い出汁を取るため2種類の鶏肉を投入し、単純に量を増やしています。
再度沸騰したら弱火にして6分、アクを取りつつ茹でていきます。
茹ですぎると鶏肉が固くなるため、6分たったら火を止めて鍋のフタをし、そのまま30分ほど置いておきます。
ちょっと長いですが、鶏肉の中まで火を通しつつ、さらに出汁を取るための時間です。
待っている間に他の具を作っていきましょう。
椎茸の甘煮を作る
まずは椎茸の甘煮です。
耐熱容器に干し椎茸と、浸るくらいの水(300mlほど)を入れてふわっとラップをかけ、電子レンジで3分(500Wの場合)加熱します。
冷ましてから取り出して軸を取り、細切りにします。戻し汁はこのあと使うので捨てないでください。
フライパンに、切った椎茸、戻し汁100ml、砂糖大さじ1、醤油小さじ2を入れ、中火にかけます。
汁がなくなるまで5〜10分ほど煮れば、椎茸の甘煮の出来上がり。
錦糸卵を作る
卵1個を溶き、塩を少々入れます。
小さめのフライパンを弱めの中火で熱し、油を引いたら……
キッチンペーパーで余分な油を拭き取ります。
溶いた卵を流し入れ、焼き色がつかないよう両面を焼きます。薄いのでひっくり返す時に破れないよう、フライ返しを使うといいでしょう。
焼けて粗熱が取れたら、まな板の上でロール状にして細切りにしていきます。
錦糸卵はこれで完成です。
たくあんと薬味を用意する
この時間で、たくあんと青ネギも切っておきましょう(面倒な人は、あらかじめ切ってあるものを買ってもOKです)。
たくあんは細切りに、青ネギは小口切りでよいでしょう。
ちなみに本場の奄美大島では、たくあんではなく、パパイヤの青い果肉で作った「パパイヤ漬け」という漬物が添えられることが多いです。こちらでは手に入りにくいので、今回はたくあんで代用しました。この他、つぼ漬もおすすめですよ。
鶏肉をほぐしていく
他の具材や薬味を用意している間に、鶏肉の粗熱が取れてきているはずなので、鍋から取り出して食べやすい大きさにほぐしていきます。
なお、茹で汁はスープになるので、捨ててしまわないようにお気を付けを!
ご飯にのせてスープと一緒に食べるものなので、ある程度細い方が盛り付けやすく食べやすいです。
包丁で適当な大きさに切り分けたら、あとは繊維に沿って手でほぐせます。
結構地味な作業ですが、ご飯と一緒に口に含んだ時にある程度細いほうがふわっとした食感が楽しめるので、頑張ってほぐしていきましょう。
胸肉をほぐし終わったら、もも肉を切りましょう。
もも肉は手でほぐせないので、包丁である程度細く切っていきます。胸肉と違って崩れやすいため、綺麗に切らなくても大丈夫です。食べやすい大きさに切っていきましょう。
今回、出汁を取るために胸肉ともも肉を1枚ずつ入れていますが、実は鶏飯に使う分量としては、明らかに多いです(鶏飯の具材に使ったのはこの半分ほどでした)。
先述の通り、これはしっかりした出汁を取るために必要な分量。残った茹で鶏は、冷凍するなどして別の料理に使うことにしています。もちろんたくさん食べられる人は、たっぷり盛り付けてもいいですよ。
スープを仕上げる
鶏肉を茹でていたスープは再度温め直し、丁寧にアクと余計な脂を取ります。キッチンペーパーを表面に被せてアクを吸わせると時短になります。
味を見て足りないと思った場合は、塩を少し足してもよいでしょう。気持ちしょっぱいかな? くらいの方が、ご飯にかけた時にちょうどいいです。
これでスープと具材の準備がすべて整いました。
あとは盛り付けて完成です!
具材の盛り付け
奄美の鶏飯は、具材・薬味とスープ、ご飯が別々に供され、食べる時に各自好きな量を器に盛ります。
本場にならって、ほぐした鶏肉、椎茸の甘煮、錦糸卵、たくあんや薬味を、お皿に盛り付けましょう。
島のごちそう、鶏飯を美味しく食べるコツ
各種具材とスープ、ご飯のおひつ(今回はなかったので小さな土鍋ですが)が並べば、すっかり奄美大島でおもてなしされている気分です。
さあ、島のごちそう・鶏飯をいただきましょう!
僕が実際に奄美大島のお店で教わった、鶏飯を美味しく食べるコツがひとつあります。
それは「ご飯を盛りすぎない」ということ。
鶏飯は「出汁の美味しさを味わうもの」と思っているのですが、ご飯を入れすぎると出汁を吸ってしまって味がぼやけてしまうのです。最初は半膳、もしくは1/3膳くらいで様子を見ましょう。
「ご飯は少なめ、出汁はたっぷり」が基本です。
具材は好きな分量をのせていきましょう。鶏肉、椎茸、錦糸卵、たくあんと並べていきます。さらにその上から薬味の青ネギ、刻み海苔、白ごまをのせます。
思ったより少ないかな、くらいが最初はいいと思います。
最後に出汁をたっぷりかけて、いただきます!
出汁、具材、ご飯をずるずると口に含めば、やさしい鶏の味がじわっと広がります。
時折入るたくあんのパリパリとした食感や、椎茸の甘煮がアクセントになって、食べ飽きることがありません。鶏の味だけだと単調になってしまうところ、合間に脇役が入るこの組み合わせ、「メインの鶏肉と鶏出汁の味をいかに最後まで楽しむか」を考えて作られたとしか思えないです。
気がつくと一杯目をぺろりと平らげて、ご飯をよそってはまた具材をのせていることでしょう。
奄美のお店では、乾燥させて細かく刻んだ柑橘の皮や紅生姜を、薬味として出してくれるところもあります。僕の家では、柚子胡椒を出汁に少し溶いたり、七味を振って味変することも。また、ご飯の代わりに素麺やうどんで作っても美味しく食べられますよ。
ちょっと元気がない時も、このやさしい鶏スープ茶漬けならいくらでも食べられそうで、我が家の新しい定番になりそうです!
書いた人:いづやん
島旅研究家、島旅フォトライター。本業のWeb制作のかたわら、休みのたびに日本の離島を巡り歩いては写真を撮り、ブログを書き、イベントで話したり、同人誌を作って離島の魅力を発信しています。人生初離島は小笠原、一番通っているのは八丈島。
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December 07, 2020 at 04:00AM
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