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不倫口止め事件でトランプ氏出廷、大統領経験者で初の刑事裁判被告人…有罪なら大統領選へ影響必至 - 読売新聞オンライン

 【ニューヨーク=山本貴徳、ワシントン=淵上隆悠】米国のトランプ前大統領(77)が不倫の口止め料を不正に処理したとされる事件の初公判が15日、ニューヨーク州地裁で開かれた。大統領経験者として初めて刑事裁判の被告人となったトランプ氏は無実を主張している。有罪判決が出た場合、共和党候補の指名が確実となっている11月の大統領選への影響は必至だ。

 公判は、有罪か無罪かを判断する陪審員の選定から始まり、証人尋問などを含めて6週間程度かかるとみられる。トランプ氏は14日に自身のSNSで、「私は自分のために闘うが、もっと重要なのは、この国のために闘うということだ。こんな選挙妨害は米国では起きたことがなかった」と投稿し、検察官やバイデン大統領(81)らを非難した。

 起訴状などによると、トランプ氏は2016年大統領選前の同年10月、不倫関係にあったポルノ女優に対し、当時の顧問弁護士を通じて13万ドル(約2000万円)を支払った。一族が経営する企業が肩代わりさせた費用を支払う際、業務記録に「弁護士費用」などと虚偽の内容を記載したとして、計34件の罪で起訴された。

 トランプ氏は昨年、15日にニューヨーク州地裁で初公判を迎えた事件のほか、〈1〉2020年大統領選の結果を覆そうと手続きを妨害し、翌年の連邦議会占拠につながった事件〈2〉政府の機密文書を持ち出した事件〈3〉ジョージア州の大統領選結果を覆そうとした事件――でも起訴された。

 今回の裁判は、トランプ氏が抱える四つの事件で最も早く審理が始まった。他の三つの事件は日程が確定しておらず、大統領選前に結果が出るかどうかは見通せない。トランプ氏は週4日のペースで出廷を求められる見通しで、選挙活動は事実上、制限される。

 しかし、トランプ氏は11月の大統領選に向けて訴訟を支持固めの材料に使う強気の姿勢を見せている。

 「君たちのために戦えて光栄だ。楽しんで見てほしい」。トランプ氏は13日のペンシルベニア州での集会で、訴訟についてこう強調した。

 大統領選への影響が指摘されていたが、トランプ氏は民主党のバイデン氏による「魔女狩り」だとする主張を繰り返し、呼応した支持者はむしろ結束した。トランプ氏は今後、公判を「ショー」に変え、支持固めに利用するつもりだ。米紙USAトゥデーは14日、「裁判所から選挙活動を行うトランプ氏の戦術が本格化する」と伝えた。

 ただ、トランプ氏の思惑通りに進むかどうかは不透明な部分もある。刑事事件で有罪になっても大統領選出馬の資格を失うわけではないが、有罪判決が大統領選で勝敗のカギを握る無党派層の離反を促す可能性がある。

 このため、トランプ氏は裁判をできる限り遅らせる遅延戦術を展開する。例えば、大統領在任中の行為は刑事訴追が免責される「特権」があると主張することで、3月に初公判が予定されていた議会占拠事件関連の初公判を延期させた。

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