バイデン米大統領、ウクライナに供与した武器使うロシア領攻撃を限定容認=米高官

砲弾を装填するウクライナ兵

画像提供, Getty Images

アメリカのジョー・バイデン大統領は30日、アメリカが供与した兵器でウクライナがロシア国内の標的を攻撃することを限定的に認めた。複数の米高官が明らかにした。ただし、標的は北東部ハルキウ州周辺に限るという。ロシア軍はここ数週間、ロシアとの国境に近い同州を攻撃し、勢力を拡大している。

米政府高官はBBCに対し、ウクライナが「ウクライナ部隊を攻撃している、あるいは攻撃しようとしているロシア軍に反撃する」目的で、アメリカの武器を使用できるようにするよう、自分の部署が指示されたと述べた。

また、「ロシア国内での陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)の使用や長距離攻撃を禁止する方針は、変わっていない」と述べた。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースが、新政策にロシア軍機への攻撃は含まれているのかとアメリカ政府関係者に尋ねたところ、この政府筋は 「ウクライナ攻撃のため飛んでくるロシア軍機を、ロシア領空で撃墜してはいけないとは、言ったことはない」と答えた。

この件について、米ホワイトハウスと国務省からのコメントはない。

イギリスは先に、ウクライナが西側諸国から供給された武器を使用する際の制限を緩和することに前向きな姿勢を示した。

こうした動きで紛争がいっそう激化するのではと懸念されるものの、欧州諸国は複数の指導者が最近、武器の使用制限緩和を求めている。

しかし、ウクライナに大量の武器を供与しているアメリカは、エスカレーションを恐れて緩和を拒否してきた。

ただし、アントニー・ブリンケン米国務長官は、29日にモルドヴァを訪問した際、この転換をほのめかした。

「これまでのすべての段階において、我々は必要に応じて適応し、調整してきた」

「そして、今後もまさにそうする」

西側諸国の武器が前線に到着するのをウクライナが待つなか、ロシアはハルキウでウクライナ領内にさらに深く侵入する機会を狙っているようだ。

ロシア軍は先週、ハルキウ市内のスーパーマーケットを2発の滑空誘導爆弾で攻撃。少なくとも12人が死亡、数十人が負傷した。

ハルキウ州のオレフ・シニエフボフ知事は31日、メッセージアプリ「テレグラム」で、ロシアの砲撃がノヴォバワルスキー地区にある5階建ての集合住宅を襲い、建物の一部を破壊し、火災を引き起こしたと発表した。

この攻撃で少なくとも3人が死亡したほか、12歳の少年と12歳の少女を含む16人が負傷した。2人とも病院に運ばれたという。

ウクライナ政府関係者は、ロシア軍が「もっぱら民間インフラ」を標的にし、救急隊員や救助隊員が到着した後に2度目の攻撃を加える「二重攻撃戦術」を用いたと非難した。