ウロジャイネからずっと南下していくと、黒海に面しロシア軍の占領下にある港湾都市マリウポリに出る。ウロジャイネは、このライン上に数珠状に連なるロシア軍の重要な拠点の1つだ。ウクライナ軍はウロジャイネの東側と西側から前進し、第37自動車化狙撃旅団を含むロシア軍守備隊をじりじりと追い詰めてきた。そして、ロシア軍守備隊に残されたウロジャイネからの退路はとうとう1本だけになった。南側に隣接するサビトネ・バジャンニャ、スタロムリニウカ両集落に抜けるT0518という道路だ。
「ウロジャイネの奪還は時間の問題だった」と独立した調査組織コンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)は書いている。消耗したロシア軍守備隊は12日か13日、全面撤退もしくは部分撤退を余儀なくされることになった。ロシア兵らはT0518道路とそれに隣接する草地を白昼堂々、徒歩で退却した。
ウクライナ軍のドローンはその様子を上空から監視していた。そして砲兵部隊が照準を合わせた。あたりは血の海になった。
ウクライナ国防省が13日に公開した2本のドローン映像には、ロシア兵数十人が道路を走る様子が映っている。1本目の動画では榴弾(りゅうだん)が炸裂し、兵士らが地面に吹き飛ばされる。2本目の動画では、対人・対装甲用クラスター弾DPICM(二重用途改良型通常弾)が撃ち込まれ、退却するロシア兵の上に子弾がばらまかれる。
ロシア軍は、2022年2月にウクライナに全面侵攻した当初からクラスター弾を使用してきた。ウクライナ軍は2022年末にトルコ製クラスター弾を入手し、先ごろ北大西洋条約機構(NATO)式の155ミリ榴弾砲用に米国製M483A1型DPICMも手に入れた。
重量約47キログラムのM483A1は空中で破裂して子弾が放出される。子弾が撒かれる範囲は破裂時の高度で変わってくるが、フットボール場より広くなることもある。米陸軍の野戦教範(フィールドマニュアル)によれば、各子弾は「2.5インチ(約6.3センチメートル)超の均質圧延装甲を貫通し、(あるいは)人員を無力化できる」
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