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退役将軍の主要閣僚がネタニヤフ首相批判、ガザ作戦の「真実を語っていない」と - BBC.com

マーク・ロウエン特派員、BBCニュース(エルサレム)

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(右)の発言に、閣僚のガディ・エイゼンコット氏が反論した

画像提供, Getty Images

イスラエル戦時内閣の主要閣僚が19日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相について、パレスチナ自治区ガザ地区での軍事作戦の目標について真実を述べていなかったと批判した。

これに対し、退役将軍の閣僚ガディ・エイゼンコット氏はイスラム組織ハマスの「完全な打破」を掲げる人々は、「真実を語っていない」と発言。

また、ネタニヤフ首相には10月7日のハマスによる襲撃からイスラエルを守れなかったことについて「明確な責任」があり、現在政権には「全く信用がない」と述べ、解散総選挙を求めた。

ハマスは10月7日にイスラエル南部を吸収し、約1300人を殺害したうえ、約240人を人質として連れ去った。

ネタニヤフ首相とヨアヴ・ガラント国防相はほとんどお互いに口をきいていないと報じられるなど、イスラエルの政権内でも緊張が広がるなか、イスラエルと西側の同盟国の溝も深まっている。

ネタニヤフ氏の発言を受け、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は、アメリカとイスラエルが「明らかに異なる見方をしている」と述べた。

米国務省の報道官は、パレスチナ国家なしに、イスラエルの安全保障上の問題を解決することはできないと述べた。

アメリカなどイスラエルを支持する国々や、イスラエルと敵対する国々の多くは、パレスチナとイスラエルのそれぞれの国家が隣り合って共存する「2国家解決」案を求めている。

ホワイトハウスによると、ジョー・バイデン大統領は19日にネタニヤフ氏と約1カ月ぶりに電話で会談し、2国家解決について話し合った。

バイデン氏はその後の記者会見で、ネタニヤフ氏の在任中に2国家解決は不可能なのかとの質問に、「いいや、不可能ではない」と答えた。

しかし、ネタニヤフ氏は政治家としてのキャリアの大半を通じて、パレスチナ国家に反対してきた。つい先月も、パレスチナ国家の樹立を妨げてきたことを誇りに思っていると公言した。

ハマスが運営する保健省によると、イスラエルの軍事作戦開始以降に殺されたパレスチナ人は2万5000人近くに上っている。こうしたタイミングでバイデン政権に反論したことは、ネタニヤフ氏の国際的孤立をさらに高めるだろう。

アメリカ政府は繰り返し、イスラエルの軍事政策に働きかけてきた。全面的な空爆より、精密誘導兵器を使った攻撃を促した。地上攻撃は控えるよう伝えた。2国家解決を求め、紛争後のガザではパレスチナ自治政府が役割を果たすべきだと主張した。

だが、アメリカ政府の忠告はイスラエル側の耳に届かないことが多く、イスラエルを全面支持しているジョー・バイデン政権に対し、アメリカの一部関係者のいら立ちを強めている。

この紛争で多くの死者が出るなか、イスラエルの同盟国は、永続的な和平を実現する唯一の方法として、長らく脇に置かれてきた「2国家解決」案の復活を求めている。

だがその発言からは、ネタニヤフ氏がまったく逆のことを望んでいることを示している様子がうかがえるようだ。ネタニヤフ氏は自分の路線が、いずれドナルド・トランプ氏が米大統領に返り咲いたあかつきに、その政権の方針に近いものとなることを、まぎれもなく望んでいる。

そもそもネタニヤフ氏はこの米大統領選の年に、かねて親しくしているトランプ氏がイスラエル支持の有権者にアピールできるよう、あえてこのタイミングで「2国家解決」を否定する発言を、応援材料として提供した可能性もある。

アメリカのジョー・バイデン大統領とネタニヤフ首相(写真は昨年の会談時のもの)

画像提供, Reuters

イスラエル国内では、首相への支持は下がり続けており、ネタニヤフ氏は政権を支える極右勢力への依存を強めている。

最近の世論調査によると、紛争後もネタニヤフ氏に首相を任せたいと思っているイスラエル人は、わずか15%にとどまった。

多くのイスラエル人がハマスに対する軍事作戦を支持し続けているが、実現不可能かもしれないハマス壊滅という不目標より、残る人質の帰還を優先させるよう望んでいる。

ネタニヤフ氏の発言はまた、アラブ諸国による紛争仲介を否定するものでもある。

サウジアラビアは、2国家解決を含む停戦協定を結べばイスラエルと国境を正常化すると、ネタニヤフ氏の前にえさをぶら下げている。

しかし、ネタニヤフ首相は、反パレスチナ的な強硬姿勢に政治的存続を賭けているようだ。

在任中にイスラエル史上最悪の攻撃が起きた今、ネタニヤフ氏はもはや自分を「ミスター安全保障」として売り込むことはできない。

ネタニヤフ氏は今、「ミスター反パレスチナ独立」だ。首相への愛想が尽きつつあるとはいえ、隣にパレスチナ国家が存在することにトラウマを抱いているこの国の世論と、自分の立場が一致すると信じているのだ。

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