11月の米大統領選に向けた最初のテレビ討論会で、バイデン大統領とトランプ前大統領は同じ課題に直面する。すでに多くの国民がどちらを選ぶかの意志を固めて支持率も拮抗する中、有権者の心をどう動かすかだ。
1回目の テレビ討論会は6月27日、激戦州の一つであるジョージア州アトランタで行われる。両者が直接対決する討論会は流れを変え得る大きなチャンスとなる一方で、失言があれば政治的致命傷にもなりかねない。
事情に詳しい匿名関係者によると、バイデン氏は先のフランス訪問時にも討論会に向けたブリーフィングノートを携えていた。バイデン陣営は19日からワシントン郊外の山荘キャンプ・デービッドにこもり、大統領首席補佐官だったロン・クレイン氏の下で討論会の準備を進めるという。クレイン氏はコメントを控えた。
「最初の討論会までの1カ月間、バイデン・ハリス陣営はトランプ氏の危険な選挙公約と常軌を逸したレトリックに照準を合わせる」。バイデン氏の選挙運動を支える側近の一人、ジェニファー・オアマリーディロン氏による5月下旬のメモにはこう書かれていた。「トランプ氏が大統領として引き起こしたカオスと損害を有権者にきっちりと思い出させる」という。
トランプ氏の準備もごく少数の側近によって進められている。関係者によれば同氏は形式ばった準備や模擬討論を嫌っており、側近らと非公式に質問や反論をやり取りする方法を好んでいるという。
今回は、2020年選挙でトランプ氏を支えた重鎮2人がいない。元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ氏と前ニュージャージー州知事のクリス・クリスティー氏だ。ジュリアーニ氏は20年大統領選を巡る裁判で巨額の訴訟費用を抱え破産に至った。クリスティー氏は21年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件の後にトランプ氏と決別した。
トランプ氏のシニアアドバイザーを務めるジェーソン・ミラー氏は、討論会対策は多くのメディア出演や集会での演説などを通じて自然に行われていると説明。「トランプ氏は毎週のように数々の厳しいインタビューに応じ、長時間の集会演説も立ったままこなし、並外れたスタミナを発揮している。スタッフがプログラムする必要はない」と語った。
無口戦略
2020年の第1回討論会では、トランプ氏がバイデン氏の発言中に何度も割り込み、それに対してバイデン氏が「黙っていてくれ」と反応するなど、混乱と非難合戦に終始した。第2回討論会では、どちらかが発言する際に相手側のマイクを切る措置などが取られた。
今年の第1回討論会の方法は、バイデン氏に有利に働くかもしれない。トランプ氏は聴衆の反応をエネルギーに変えるタイプだが、今回は聴衆を入れずに行われる。また司会者は両者のマイクを切ることができるため、トランプ氏がバイデン氏の発言にかぶせて何か言うことは不可能になる。
事情に詳しい関係者によると、バイデン陣営は同討論会で、両者の気質や政策の違いを浮かび上がらせることを狙っている。その戦略の重要な柱となるのが、トランプ氏が怒りを見せたり、突飛な発言をしたりする機会を十分に与えることだという。
一方でトランプ氏側も、討論会ではできるだけ控えめな態度を保ち、失言が多いことで知られるバイデン氏が口を滑らせる時間を十分に与えるようにすることが考えられているという。
民主党議員の1人は、相手にミスを犯す時間とスペースを与えることで、口数の少ない方の候補者が恐らく討論会の勝者になると語った。
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原題: Trump, Biden Prep for Debate Where Any Misstep Threatens Hopes(抜粋)
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